医療費控除とは
医療費控除(所得税法 第73条)は、1年間(1月〜12月)に本人と生計を同一にする家族が支払った医療費が一定額を超える場合に、超えた金額を所得から控除できる制度です。 確定申告で申請することで、所得税の還付と住民税の軽減を受けられます。
計算式
医療費控除額 =
支払った医療費 − 保険等で補填される金額 − 控除のしきい値
支払った医療費 − 保険等で補填される金額 − 控除のしきい値
控除のしきい値:
- 総所得金額 200万円以上 → 10万円
- 総所得金額 200万円未満 → 総所得 × 5%
控除上限: 200万円
対象になる医療費
- 診療・治療費(保険診療・自由診療問わず)
- 処方薬の代金・市販薬(治療目的のもの)
- 入院費(差額ベッド代は治療上必要な場合のみ)
- 通院・入院の交通費(公共交通機関、急を要する場合のタクシー代)
- 歯科治療(保険適用外でも、一般的な治療範囲なら対象)
- 出産費用(妊婦健診・分娩費)
- あん摩・マッサージ・はり・きゅう(治療目的のもの)
- 介護保険のサービス(一定の要件下)
対象にならない医療費
- 美容整形・歯列矯正(美容目的)
- 健康診断・人間ドック(病気が見つかった場合は除く)
- 予防接種(インフルエンザ等)
- 眼鏡・コンタクトレンズ(治療用は除く)
- サプリメント・健康食品
- マイカーでの通院ガソリン代・駐車場代
- 差額ベッド代(自己都合の個室希望)
保険等で補填される金額
以下の金額は医療費から差し引きます:
- 生命保険・医療保険の入院給付金・手術給付金
- 健康保険の高額療養費
- 健康保険の出産育児一時金(50万円)
- 健康保険の家族療養費
- 労災保険の給付
※ 補填金額はその医療費を補填するもののみを差し引きます。例: 入院給付金は入院費から、出産育児一時金は出産費から差し引き。残額があってもプラスにはなりません。
具体例
例: 総所得500万円、医療費30万円、保険補填5万円
- 医療費 − 保険補填 = 300,000 − 50,000 = 250,000円
- しきい値: 所得200万円以上のため10万円
- 医療費控除額 = 250,000 − 100,000 = 150,000円
- 所得税率20%(課税所得400万円帯)の場合、還付 ≒ 150,000 × 20% × 1.021 ≒ 30,630円
- 住民税の軽減(翌年度)≒ 150,000 × 10% = 15,000円
セルフメディケーション税制(特例)
通常の医療費控除と選択制で、健康増進・予防の取組(健診受診等)を行う人が、対象スイッチOTC薬品を年間1.2万円超購入した場合に適用できる特例です。
- しきい値: 年間 1.2万円(10万円より低い)
- 控除上限: 8.8万円(10万円控除上限)
- 対象: スイッチOTC医薬品(パッケージに識別マーク)
- 条件: 申告者本人が健診・予防接種等を実施していること
申告の手順
- 1年間の医療費領収書を集める
- 医療費控除の明細書を作成(マイナポータル連携で自動入力可)
- 確定申告書に医療費控除額を記載
- e-Tax または税務署に提出(医療費領収書は5年間保管)
給与所得者でも医療費控除のために確定申告できます。納めすぎた所得税が還付されます。
よくある間違い・注意点
- 「保険補填額」は必ず差し引く:高額療養費・出産育児一時金・生命保険からの給付金は医療費から差し引いて計算します。差し引き忘れは申告ミスの最多原因です。
- 10万円基準と所得5%基準の選択:所得200万円以上の方は10万円が控除のしきい値、200万円未満の方は所得×5%が下限です。間違えると控除額が大きく変わります。
- 美容・健康増進目的は対象外:美容整形・健康診断(病気が見つかった場合の精密検査は対象)・サプリメント・ジム代などは控除対象外です。
- セルフメディケーション税制との選択制:セルフメディケーション税制(スイッチOTC控除)と医療費控除は選択制で、両方使えません。どちらか有利な方を選択します。
- 交通費・通院費も対象:通院のための公共交通機関の運賃も控除対象です(自家用車のガソリン代・駐車場代は対象外)。タクシーは緊急時や歩行困難な場合のみ対象。
よくある質問(FAQ)
Q. 家族の医療費も合算できますか?
A. はい、同一生計の親族(配偶者・子・親など、別居の親族でも仕送りしていれば対象)の医療費は合算できます。所得税率が高い家族が申告すると還付額が大きくなる傾向があります。
Q. 過去の医療費も対象になりますか?
A. はい、過去5年分まで遡って申告できます(更正の請求 or 還付申告)。領収書を保管していれば、過去にやり忘れた医療費控除も還付請求できます。
Q. ふるさと納税と併用できますか?
A. 併用可能ですが、医療費控除によりふるさと納税の控除上限額が下がります。また医療費控除のために確定申告すると、ワンストップ特例は無効になるので、ふるさと納税分も合わせて確定申告が必要です。
Q. 出産関連費用は対象になりますか?
A. 妊婦健診・分娩費・入院費は対象です。ただし「出産育児一時金」(健康保険から最大50万円)を差し引く必要があります。マタニティ用品や妊婦向けサプリは対象外です。
Q. 歯科治療(矯正・インプラント)は対象ですか?
A. 治療目的の歯科治療(虫歯治療・抜歯・必要な歯科矯正・インプラント)は対象です。美容目的の矯正は対象外。子供の発育に必要な歯科矯正は控除対象になります。
Q. 領収書はどう保管すれば良いですか?
A. 平成29年以降、医療費通知(健康保険組合発行)または医療費の明細書を提出すれば領収書の添付は不要です。ただし5年間の領収書保管義務があります(税務署から提示を求められる場合あり)。
Q. 入力データはどこに保存されますか?
A. 入力データはあなたの端末(ブラウザ localStorage)にのみ保存され、当社のサーバーを含む外部に送信されることはありません。
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⚠ 出典・注意
出典: 国税庁「医療費を支払ったとき(医療費控除)」、所得税法 第73条(e-Gov 法令検索)、国税庁「セルフメディケーション税制」。 本ツールは概算値で、実際の還付額は他の控除や個別事情により変わります。具体的な申告は税理士・税務署にご相談ください。
最終更新日: 2026年5月8日
変更履歴
- 2026/05/08 — FAQ拡充、注意点・出典リンク追加
- 初版公開